忍者ブログ
一次創作絵・文サイト。まったりグダグダやっとります。腐要素、その他諸々ご注意を。
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

「停学?…今度は一体、何をしたんだ?」
放課後の校舎裏で堂々と煙草を吹かしながらあっけらかんと自身の処分を言う幼なじみ――柳に半ば呆れながら蓮見が問う。
すると柳は面倒そうに、「半殺し」と答えた。
またか…。まったくこいつは、相手は素人なんだからあれほど抑えろと言ったのに。
蓮見はそれこそ自分が怒鳴り散らしながら柳を半殺しにしたい衝動を押し潰し、深いため息を吐く。
柳の暴力に染まった日々は今に始まったことではない。
とっくに退学になってもおかしくないが、不良の多く集まる傾向のある私立校ということもあって、学校側もほとんど丸投げ状態だ。
尤も、バックに暴力団が存在し…尚且つ、それの血縁であるのは、蓮見と柳くらいのものだろうが。
物心ついた頃から荒れた少年であった柳は、外見も中身も奇抜な為か、案の定、中学の入学早々にいじめに遭った。
だが、その相手を見誤ったことがいじめっ子達にとって運の尽きだった。
自分をいじめた全員を病院送りにした上、そいつらが戻ってくるとパシリと言うより奴隷のような奉仕活動を強要し、それ以来学校に行かなくなったり、辞めた生徒も少なくない。
その後も喧嘩に明け暮れ、学校生活のほぼ毎日、柳の足元でボロ雑巾のように横たわる生徒が目撃された。
高校に上がれば、そんな手癖も少しは改善されると思っていたのに。
なんとも学習能力の足りない奴だと心の中で愚痴りながら、蓮見は柳に向き直る。
「お前…部活は何か入っているのか?」
「入ってないっすよ、つまんねーし」
「そうか…それならうちの剣道部に来たらどうだ?」
「げぇっ、勘弁して下さいよ。坊ちゃんに扱かれたらオレでも無理っす!マジ死にますから!」
蓮見の誘いに、柳は血相を変えて否定する。
元から人数が少ないこともあるが、蓮見は一年でありながら剣道部の部長で、並々ならぬ実力を持った猛者である。
学業にも人一倍励み、割と地味に真面目に学校生活を送っていた。だからこそ蓮見は、柳の暴走が見ていられなかった。
「なら、せめてここを卒業するまでは目立たないよう生きろ。お前には大人しく勉強しろとは言わない…ただ、一心に打ち込めるものを見付けろ」
柳はしばし怪訝そうに蓮見の顔を見つめていると、腕を組み、うんと悩む。
「…じゃあオレ、総合格闘技でもやろっかなぁ。いろいろ出来るしよ、その方がオレらしいと思いません?」
若干面倒臭そうにだが、顔を上げて言った。即決即行動の彼らしく、その目には彼の自信が見て取れる。
格闘技は護身にもなるし、良い案だ。
「ま、オレただでさえ強いし?楽勝っすよね」
「ははは。やる気十分だな」
普段は冷厳な蓮見も思わず笑いながら、余る力を正当なものに使うことを勧めた。
そして、今ならばと蓮見は腹の内を吐き出すことにした。
「柳…前々から言いたかったのだが、その…敬語はやめろ。今の俺達は同級生だろ。普通に接してもらえないと俺も調子が狂う」
「…え?それって…」
柳は目を丸くして、蓮見を見つめる。
数秒の間があり、柳は目をキラキラ輝かせながら詰め寄って、手を握ってきた。
「お、オレ、坊ちゃんのこと、フツーのダチみたいに接して良いんすか!」
「まあ、そういうことだ」
「お…オレも!坊ちゃんとダチになりたかったんすよ!めちゃくちゃ頭良いし、オレよりも喧嘩強えし、人としてマジ尊敬してるっす!神経質なとこは死ねばいいと思ってましたけど!!」
「……一言余計なんだよテメェは」
友情の証のグーパンチが柳の腹にクリーンヒット。
地面に突っ伏して悶絶する柳を蓮見が哀れみを込めた目で睨むまで、さほど時間は掛からなかった。
――蓮見、柳の凸凹極悪コンビが結成されたその日以来、母校には非行少年の憧れる数多の伝説が出来たとか、出来ないとか。
PR
この記事にコメントする
           
お名前
タイトル
メール(非公開)
URL
文字色
絵文字 Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
コメント
パスワード   コメント編集に必要です
 管理人のみ閲覧
この記事へのトラックバック
トラックバックURL:
フリーエリア
pixiv/メルマガ
最新コメント
[09/28 篠崎]
最新記事
バーコード
ブログ内検索
最古記事
Copyright ©  -- 月下香 --  All Rights Reserved
Design by CriCri / Material by White Board

powered by NINJA TOOLS / 忍者ブログ / [PR]