一次創作絵・文サイト。まったりグダグダやっとります。腐要素、その他諸々ご注意を。
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「あ…あのさ、智光」
「んー?」
智光はテレビの前に胡坐をかき、画面に熱烈な視線を向ける。
そこに映っているのは、最近買ったとかいうゲームだ。
手元のコントローラーに忙しなく指を滑らせながら、いつものように気だるい声を返す。
「せっかくの休日なんだしさ、外、出ない?」
「おーい、いま俺が何やってるか見えねえのか」
「ご、ごめん」
ちゃんと見えてる。智光は、このゲームのラスボスと思われるものと対峙してる。
軽く舌打ちをされて、俺は思わず正座になった。
年下にどうしてこうも低姿勢でなければいけないのか。というか、本来はこいつが年上の俺に対して、異常な態度をとっているのに。
ただ、それに苛々していたのは最初だけ。今はもう慣れた。慣れなきゃやってらんない、というのが本音だが。
「うーん…あ、そのゲーム、面白い?俺にも貸してくれよ」
「自分で買え」
「うぐっ……」
やっぱりさっきの、訂正。ムカつくもんはムカつくだろ!
胸の内で苛立ちを募らせている間に、その元凶である智光はコントローラーを置いた。
そして、事前に手元に用意してあったと思われる、残り少ないペットボトルの水を一気に飲み干す。
「あれ、もう終わり?」
「ああ」
「それ…確か昨日買ったとか言ってなかったか?は、早っ…」
「そりゃ、一睡もしないでやってたからな」
エンドロールが流れ出した画面をぼうっと見つめる俺の横で、智光が大きく伸びをした。
睡眠不足から自然と出るあくびも、隠そうとはしない。
智光は、重度のゲームオタクだ。それは自他ともに認めている。ゲームセンターとかに行っても、ありえないくらい高いスコアがあって驚くことがあるけど、そういうのはこいつの仕業だ。
「んで、何だっけ?」
ふと話しかけられて、忘れかけていた本題を思い出す。
「えーと…、だから、たまには外出てみないかって話。気晴らしになるかもしれないし!」
「ふぅん」
1人テンションを上げる俺を横目に、智光は興味無さげに鼻を鳴らした。
だがそれは棘を含んでいて、否定ともとれる。
「行き先決まってんのかよ。それとも、なんとなーく散歩でもしようって訳?」
「そ、それは…まぁ…」
「せめて決めとけ」
これみよがしにため息をつかれた。
ただでさえ気難しい智光を前に、言葉に詰まる。
「…じゃあ、場所によっては良いんだな?」
「嫌だ」
「お、お前な…っ」
怒っちゃダメだ。こいつが調子に乗るから。でも抑えられない苛立ちに、顔が引きつる。
そんな俺に、智光は何の感情も持たない視線を向ける。
「なあ、ほんっとーにダメか?絶対?俺がこんだけ言ってんのに?」
そう簡単に諦めてたまるか。かるい勝負心が芽生えて詰め寄る。
大げさに顔を覗き込むと、智光は眉に皺を寄せた。不機嫌な時のこいつの癖だ。
「うるさい」
「なんでだよ…」
「用も無いのに外へ出たくない。面倒だ」
お笑い番組で見た芸人みたいに、ズコーっと滑った。
智光は何事も面倒か、そうでないかで決める。でも、その判定基準はシビアすぎて俺にはわからない。
…いや、シビアというよりは、本当にこいつの気分次第なんだと思うけど。
グダグダしたいのは俺だってそうだけど、智光は度が過ぎてる。
金持ちで、頭が良くて、体育の授業くらいでしか見たことないけど、運動神経も良い方だ。
男の俺から見ても顔立ちはすごく整ってると思うし、その上ゲームも上手いって、さすがの俺でも天を恨むぞ…?
そういう相手を連れ出す策なんて、いくら考えたって、実行したって、やっぱり失敗するのがオチなんだろうか。
悩みすぎて無言になっていた時、智光の携帯が鳴った。間髪入れず、智光が電話に出る。
「おう、どした?…え、マジ?了解。今から行く」
短い会話だった。
電話を切ってすぐ、智光は外出の準備を始めた。
「ちょっと出掛けるわ」
「えっ…も、もしかして、俺の思いが通じた…!?」
「違えよ。秀吉がいまゲーム大会やってて、俺に参戦依頼」
あっけらかんとした表情で言われて、2度目のズコー。
徹夜明けのはずなのに、今の智光はなんだかすごく元気に見える。そんなにゲームが好きなのか?
ちくしょう。俺がこんなに真剣に考えてやってるってのに!
馬鹿だ、こいつホントに馬鹿だ。でも。
「…あんたも来る?」
広い部屋に一人きりになるのはなんだか居心地が悪くて…。
結局俺は今日も、自分の言うことを聞かせるどころか、こいつの気まぐれに付き合うことしか出来なかった。
「んー?」
智光はテレビの前に胡坐をかき、画面に熱烈な視線を向ける。
そこに映っているのは、最近買ったとかいうゲームだ。
手元のコントローラーに忙しなく指を滑らせながら、いつものように気だるい声を返す。
「せっかくの休日なんだしさ、外、出ない?」
「おーい、いま俺が何やってるか見えねえのか」
「ご、ごめん」
ちゃんと見えてる。智光は、このゲームのラスボスと思われるものと対峙してる。
軽く舌打ちをされて、俺は思わず正座になった。
年下にどうしてこうも低姿勢でなければいけないのか。というか、本来はこいつが年上の俺に対して、異常な態度をとっているのに。
ただ、それに苛々していたのは最初だけ。今はもう慣れた。慣れなきゃやってらんない、というのが本音だが。
「うーん…あ、そのゲーム、面白い?俺にも貸してくれよ」
「自分で買え」
「うぐっ……」
やっぱりさっきの、訂正。ムカつくもんはムカつくだろ!
胸の内で苛立ちを募らせている間に、その元凶である智光はコントローラーを置いた。
そして、事前に手元に用意してあったと思われる、残り少ないペットボトルの水を一気に飲み干す。
「あれ、もう終わり?」
「ああ」
「それ…確か昨日買ったとか言ってなかったか?は、早っ…」
「そりゃ、一睡もしないでやってたからな」
エンドロールが流れ出した画面をぼうっと見つめる俺の横で、智光が大きく伸びをした。
睡眠不足から自然と出るあくびも、隠そうとはしない。
智光は、重度のゲームオタクだ。それは自他ともに認めている。ゲームセンターとかに行っても、ありえないくらい高いスコアがあって驚くことがあるけど、そういうのはこいつの仕業だ。
「んで、何だっけ?」
ふと話しかけられて、忘れかけていた本題を思い出す。
「えーと…、だから、たまには外出てみないかって話。気晴らしになるかもしれないし!」
「ふぅん」
1人テンションを上げる俺を横目に、智光は興味無さげに鼻を鳴らした。
だがそれは棘を含んでいて、否定ともとれる。
「行き先決まってんのかよ。それとも、なんとなーく散歩でもしようって訳?」
「そ、それは…まぁ…」
「せめて決めとけ」
これみよがしにため息をつかれた。
ただでさえ気難しい智光を前に、言葉に詰まる。
「…じゃあ、場所によっては良いんだな?」
「嫌だ」
「お、お前な…っ」
怒っちゃダメだ。こいつが調子に乗るから。でも抑えられない苛立ちに、顔が引きつる。
そんな俺に、智光は何の感情も持たない視線を向ける。
「なあ、ほんっとーにダメか?絶対?俺がこんだけ言ってんのに?」
そう簡単に諦めてたまるか。かるい勝負心が芽生えて詰め寄る。
大げさに顔を覗き込むと、智光は眉に皺を寄せた。不機嫌な時のこいつの癖だ。
「うるさい」
「なんでだよ…」
「用も無いのに外へ出たくない。面倒だ」
お笑い番組で見た芸人みたいに、ズコーっと滑った。
智光は何事も面倒か、そうでないかで決める。でも、その判定基準はシビアすぎて俺にはわからない。
…いや、シビアというよりは、本当にこいつの気分次第なんだと思うけど。
グダグダしたいのは俺だってそうだけど、智光は度が過ぎてる。
金持ちで、頭が良くて、体育の授業くらいでしか見たことないけど、運動神経も良い方だ。
男の俺から見ても顔立ちはすごく整ってると思うし、その上ゲームも上手いって、さすがの俺でも天を恨むぞ…?
そういう相手を連れ出す策なんて、いくら考えたって、実行したって、やっぱり失敗するのがオチなんだろうか。
悩みすぎて無言になっていた時、智光の携帯が鳴った。間髪入れず、智光が電話に出る。
「おう、どした?…え、マジ?了解。今から行く」
短い会話だった。
電話を切ってすぐ、智光は外出の準備を始めた。
「ちょっと出掛けるわ」
「えっ…も、もしかして、俺の思いが通じた…!?」
「違えよ。秀吉がいまゲーム大会やってて、俺に参戦依頼」
あっけらかんとした表情で言われて、2度目のズコー。
徹夜明けのはずなのに、今の智光はなんだかすごく元気に見える。そんなにゲームが好きなのか?
ちくしょう。俺がこんなに真剣に考えてやってるってのに!
馬鹿だ、こいつホントに馬鹿だ。でも。
「…あんたも来る?」
広い部屋に一人きりになるのはなんだか居心地が悪くて…。
結局俺は今日も、自分の言うことを聞かせるどころか、こいつの気まぐれに付き合うことしか出来なかった。
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